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ブルー・セーター――引き裂かれた世界をつなぐ起業家たちの物語


ミニレビュー

住民による貧困克服の取り組みに投資する非営利組織であるアキュメン・ファンドを立ち上げた、ジャクリーン・ノヴォグラッツ氏の半世紀。とても熱く良質な書評がAmazonのカスタマーレビューに寄せられています。

ハラハラするような行動力。過去の自分を振り返り、失敗もありのままに語れる率直さ。著者は最後の「謝辞」で、書き上げるのに10年かかったと明かしています。

キャリアの最初のほうで、アフリカの女性にパンのセールスを教えようとするくだりが出てきます。「ちょっと押しつけがましいのでは?」「ああ、アメリカ人っぽいな」と感じました。しかし著者が常に行動し、そこから学び、ぐんぐんと成長していくさまを読むにつれて、そうやって批評家モードで読んでいた自分を恥じる結果になりました。

一段落だけ引用します。アキュメン・ファンドを立ち上げ、最初の出資先を探したがなかなか見つからずに焦っていたときのエピソードです。

引用:

 夏の終わり、焦っていた私たちに、ある医療企業のCEOが、決して忘れられないアドバイスをしてくれた。
「ともかく始めることだ」と彼は言った。「完壁をめざす必要はない。とりあえず始めれば、仕事が教えてくれる。だれも最初からきちんとやれるとは思っていない。どのみち初めは成功よりまちがいから学ぶことのほうが多いだろう。だから、あまり取り越し苦労をせず、最善のチャンスに賭けて、やってみることだ」

著者がこの言葉を「忘れられないアドバイス」と評していることに驚きました。わたしから見ると、著者は上の言葉を文字通り実践してきた人であるように思えたからです。

これほどの行動力を発揮してきた著者にしてなお、「ともかく始める」「仕事が教えてくれる」「最善のチャンスに賭けて、やってみる」といったアドバイスを行動のきっかけにしていたとは。自分に行動を促すしくみが本当に重要なのだと思い知らされた箇所でした。