ミニレビュー
この本は「親や大人が自ら発想力を鍛え、子どもの発想力を伸ばす」ための本だ。(p173)
著者は元コンサルタント。小学校のPTA会長としての体験を縦糸に、子どもの発想力を伸ばすために、大人は何を考え・身に付けるべきかを語っています。
子どもをヒマにさせる決意
冒頭、著者の家庭でのルールがいくつか紹介されます。その根底には、「子どもはヒマで貧乏なほうがいい」というポリシーがあります。
発想、つまり自由に考え自分で決めることへの第一条件は「時間」
ヒマなくして発想なし。もちろんそのヒマが、テレビやゲームに食い尽くされぬようにしてのこと。そうして生まれたヒマの中でこそ、子どもたちは自分で考え始める。(第1章)
ここは我が家も同じで、塾なしテレビなしゲームなしケータイなし。なので、著者が上記の文章につけた「子どもをヒマにさせる決意」という見出しに強く共感しました。
子どもをヒマにさせておくためには、「決意」が必要。
そうなんですよ。塾にも行かず通信教育も受けていない子どもは、どうもクラスでうちだけらしい……などと聞くと、うちも右へならっておきたくなってしまいます。
「決意」を貫くためには、よりどころになる「信念」が必要。著者はこう続けます。
そうして生まれたヒマの中でこそ、子どもたちは自分で考え始める。
そういう力なくして、決してこれからの社会は渡れない。子どもたちが大人になる十数年後、第一に必要になるのは「自ら考え、自ら動ける」こと。指示待ち族や、知識偏重秀才の居場所は、おそらく、ない。(第1章、上の引用部分に続いて)
これもほぼ共感。しかし、「正解」かどうかは分かりません。この本を読んだ知人(やはり小学生の親)は「なぜそこまで発想力が大事なのかを納得させて欲しかった」と言っていました。何にせよ、大人がそういった仮説を自分なりに立てて、子どもと「共に育つ」。その「共育」の大事さと楽しさを、この本は教えてくれます。
著者の仮説である「発想力が大事!」に共感できる方は、第2章以降も楽しく読めるはず。Amazonには目次がなかったので、下に引用しておきます。
Part1 子どもたちから奪っているもの・与えるべきもの
第1章 「発想」への条件 子どもはヒマな方がいい
第2章 本当のコミュニケーション 日本サッカー協会の十年戦略
第3章 真に与えるべきもの「自立」と「なぜだろう」の心
Part2 子どもの前に、まず親が変わる
第4章 何を身に付けるべきか 「常識」に囚われない心
第5章 「なぜだろう」の心 決めつけず多面的に考える
第6章 限界は君のうちにある きのうの自分より高く
Part3 子どもたちへの接し方、伝え方
第7章 学びへ導くために 共に学び共に問う
第8章 共に学ぶために 学校へ行こう