ミニレビュー
イギリスの作家アーノルド・ベネットによる、1910年の作品。
もっと時間ができるわけなどないのだ。われわれには今あるだけの時間しかなく、それはいつだって変わらないのだ。この含蓄のあるあまり顧みられることのない事実に気づいたからこそ(気づいたのは最近のことであるが)、私は日々の時間の使い方を仔細に検討してみようという気になったのである。
という著者が、自ら考え(たぶん)実践した時間の使い方に関するエッセイ集。Lifehacksというには骨太な、しかしところどころコツっぽい話もある、イギリス人らしい諧謔風味の利いた、楽しい本でした。
試してみたいと思ったのは「思考を集中するひとときをもつ」という章。毎朝のトレーニングとして、こんなことを提案しています。
家を出たらひとつのことに思考を集中してみよう(初めはそれが何であってもかまわない)。十メートルも行かないうちに、あなたの思考はあなたの監視の目をのがれて角を曲がり、他の事柄と戯れていることだろう。
そいつの首根っこをつかんで元へ引き戻すのだ。駅に着くまでに四十回もそれをくり返すことになるだろう。しかし、くじけてはならない。やりつづけるのだ。そうすれば、やがてうまくいくようになる。
ちなみにこの本、リンクした書籍以外にも、フォーマットを変えて何回も出版され直しているようです。
『自分の時間』
『自分の時間』
『自分の時間―1週間で「1日得をする!」自分革命』
上記はいずれも三笠書房。そしてソフトバンククリエイティブが新訳で出した以下の本には、この本を含む3編がまとめられている模様。
さらに言えば、原文はProject Gutenbergで公開されています。
How to Live on 24 Hours a Day by Arnold Bennett – Project Gutenberg