ミニレビュー
「日経ビジネス アソシエ」への連載をまとめたもの。通読すると「いまの若者は……」論が多く、「日本語の作法」というよりは「日本人の心得」というタイトルがふさわしいように感じました。しかし考えてみれば、どういう言葉を使うかは何を良しとするかという心の持ち方と密接につながっているわけですから、このくらいのバランスでよいのだと思い直しました。そういった「いまの若者は……」論がなく文法の話ばかりだったとしたら、説得力は半減していたことでしょう。
ということで、どの世代が読んでもあるべき日本人像を考えるための材料を得ることができそうです。たとえばこの文章。
引用:
尊敬もしていない相手に敬語を使う気がしないという若ものがいるが、長上に対して、なれなれしい口をきいて平気だというのは未熟さである。
「尊敬もしていない相手に敬語を使う気がしない」という気持ちはよく分かります。それが「未熟さである」というのも、今となっては理解できます。