ミニレビュー
□ 世界レベルで起きていることを掴む
このタイトルの絵解きは、本の冒頭でなされています。「グローバル化」という言葉ひとつでは世界レベルで起きていることが理解できないということです。
「グローバル化」と聞くと、人によって、人口の問題、食糧の問題、経済の問題、環境の問題など、思い浮かべることはさまざまでしょう。一人ひとりが断片をもって「グローバル化」を理解していると思っているがゆえに『軽い思考停止』状態を生み、実は急いで解決しなければならない問題が宙に浮いていると指摘しています。
では世界レベルで起きていることとは何か。これが第一部。「人口増加」と「ニュー・ワールド・エコノミー」という2つの力が「人類の制度機構」すなわち国家、産業界、市民社会などに及ぼす影響を簡潔にまとめています。
第二部は「今後20年間に解決を迫られる20のグローバルな課題」を上げ、3つにグループ化した上で一つ一つについて5ページ以内で解説を加えています。
第三部は著者の考察と提案です。
これだけの内容を300ページ以内にまとめる力に脱帽。著者も書いていますが、この本の価値はとりわけ第一部、いま世界レベルで起きていることを理解するシンプルなフレームワークに価値があると思います。
もう一つの価値は「早く!」を強調しているところ。原題は“High Noon”(真昼の決闘)、ご存知ゲイリー・クーパー主演の西部劇映画です。クーパーのさえない保安官が刑務所帰り(でしたよね、たしか)の悪漢と正午に決闘するまでの、あのジリジリ感。
このタイトルからうかがえるように、深刻な問題を明るくかつロジカルに解説してくれているところにも助けられて、内容の割には早く読み終えられました。
> 参考:この本のWebサイト