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リーダーたちのユーモア


ミニレビュー

著者は日英同時通訳の草分けで、内外の要人たちの通訳を務めてきた方だそうです。その思い出の中から、一国の指導者たちが発揮した「ユーモア」の数々を紹介した本。

スピーチの枕に使うようなちょっとしたジョークは、使い捨てるものではなくて磨き上げていくものなんですね。同じジョークでも語り手によって、また時代によって少しずつ変化させながら使いまわしていくのもアリらしい。落語みたいですね。

講演・連載をまとめたものなのでやや重複があったり、ちょっと自慢話が大目なのはご愛嬌。お国柄を笑うジョークの中から起-動線らしく意思決定をテーマにしたやつをひとつ。

引用:

(略)日本人の「意思決定の遅さ」を笑うジョークがあります。救命ボートに人が乗りすぎて、荒波に揉まれて今にも沈みそうな状況です。女性と子供を助けるために、船長がさまざまな国籍の男性に、救命衣を身につけて海に飛び込むよう要請するのに、何と言うか。
 イギリス人には、「あなたは紳士ですね」と言います。「もちろんですとも」とイギリス人はただちに飛び込みます。ドイツ人には、「船長の命令だ」、イタリア人には、「飛び込むのは規則違反ですよ」、アメリカ人には、「ご心配なく、生命保険がかかっています」で十分です。さて日本人には、そっと耳元にささやきます――「みなさん飛び込んでいらっしゃいますよ」。