ミニレビュー
なぜ企業に社会的な責任があるのか。なぜ、「誠実さ(インテグリティ)」が結果的に報われるのか。著者は企業倫理の研究をされている大学教授。
引用:
これまで、多くの大学がベンチャーや起業家支援に力を入れてきた。それとバランスをとる意味でも、企業倫理などの科目に力を入れるべきではなかろうか。極論すれば、カネ儲けの方法は、教えなくとも人は自然に習得していく(「教えなくてよい」と言っているのではない)。これに対し、倫理は教えなければ、また学ぶ機会がなければ、その必要性も有効性も理解されない。これを疎かにすれば、結局のところ、日本社会の安全が脅かされることになる。(p4)
前半でやや教科書的な整理(参照)を行い、後半では、社会的な責任(CSR)を積極的に果たそうとする日本企業の取り組みを何件か紹介しています。
たとえば自動車のハイブリッド・エンジンは、ただの製品開発なのかCSR活動ののか。著者は結果(売れたか売れなかったか)でなく過程に着目し、「会社としてのミッションの自覚があった」ことを理由にCSR活動であるという見解を示しています。
引用:
私は、三つの条件を満たす時、それはCSR活動として位置づけられると考えている。
第一は、社会的な不安や危惧が存在すれば、それをミッションとして、使命感をもって取り除くこと。(略)
第二は、ミッションの遂行にあたり、犠牲を覚悟すること。(略)
第三は、起こしたアクションが持続するよう、つまり、採算のとれるものとなるよう、改善を施していくこと。