- タイトル:【新版】動機づける力―モチベーションの理論と実践 (Harvard Business Review Anthology)
- 著者:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部(著)
- 出版社:ダイヤモンド社
- 出版日:2009-10-09
ミニレビュー
「働く意欲」に関する論文集。下に目次を引用します。いわゆる「古典」に属する論文を太字にし、初出年と著者を追加しました。
第1章 モチベーションとは何か(1968、フレデリック・ハーズバーグ)
第2章 新しい動機づけ理論
第3章 知識労働者のモチベーション心理学
第4章 MBO失敗の本質(1970、ハリー・レビンソン)
第5章 ピグマリオン・マネジメント(1969、J. スターリング・リビングストン)
第6章 モチベーショナル・リーダーの条件(1976、マクレランド&バーナム)
第7章 「理想の職場」のつくり方
第8章 Y理論は万能ではない(1970、モース&ローシュ)
第9章 本物のリーダーは社員と業績を秤にかけない
すぐれた論文には、相応の科学的な根拠に加えて、人間性への深い洞察があるように思います。それが脳科学などの新しい手法によって裏付けられ、「古典」として認められていくのでしょう。
新しい方の論文群にあった「シグニチャー・エクスペリエンス」(第7章)という概念が気に入りました。
引用:
(引用者:求職者あるいは新入社員に)会社に関する正しい情報を伝えるには、「シグニチャー・エクスペリエンス」、すなわちその職場ならではの経験を提供する必要がある。その過程で、同じ職業観と情熱の持ち主たちが自発的にあなたの会社を選ぶように後押ししてやれば、生産性の高い労使関係の基礎を築くことができる。
どの会社も新入社員へのオリエンテーションを行います。しかし、社長の訓辞、各部門長の挨拶、社内手続きの学習、あとはOJTで、みたいな通りいっぺんのプロセスを提供するにとどまっている企業も少なくありません。「自社ならではの経験」を伝える工夫を考えてみるのも面白そうです。