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キャリアカウンセリング


ミニレビュー

maitaさんにご紹介いただきました。キャリア・カウンセラー(の卵)向けの入門書ではありますが、分かりやすさと網羅性のバランスが良いので、専門家でなくとも十分についていけます。

キャリアというものは当然ながら全員がそれぞれ当事者ですので、それが学問的にどう捉えられてきているのか俯瞰しておくことは有意義だと思います。特に第1章「キャリアカウンセリングとは何か」、第2章「キャリアカウンセリングの理論」は「カウンセリング」という文脈に閉じず、それぞれ「キャリアとは何か」「キャリアの理論」として、社会人の一般教養として読まれてもよい内容です。

個人的にヒットしたのは、第8章「産業界におけるキャリア開発とキャリアカウンセリング」で、特にキャリアについて考えることが意味を持つ年代について触れたこのくだり、

引用:

シーヒー(Sheehy,G)も指摘しているように、現在最も重要で核になるのは、三十代半ばから四〇代半ばまでの一〇年間であろう。この一〇年間は「締め切りの一〇年」とシーヒーが述べているように、最終的な自分のキャリアゴール、キャリアアンカーを明確化し、キャリアアイデンティティにもとづき、自己のキャリアの方向性を最終決定する重要な一〇年である。

あるいは、キャリアデザイン研修の重要性について触れたこの文章です。

引用:

特に欠かせない最も重要な時期は三十代半ば、または四十歳を前にした三十代後半であろう。このときには誰もが、一度立ち止まり自分のキャリアを振り返るとともに、今後のキャリアを展望しライフキャリアの再デザイン(人生再設計)を行うことが欠かせない。

目に留まったのは、他でもない、自分がそのゾーンに入っているからなんですが(笑)、ここを狭く解釈して「三十代後半で専門とする職種・業界を最終化しなければならない」と考える必要はないと思います。
キャリアゴールとかアンカーとかアイデンティティとか、カタカナが多くて文意がやや曖昧ですが、前の方の章の内容と併せて考えると、この年代では自分なりの「労働観」を持つこと、すなわちどのような強みを活かしてどのような喜びを得たいのかを表現できること、だと理解しました。

「自分ナビ」作成プログラムはなかなか現代キャリア理論の「いいとこ取り」が出来ていることを確認できたという意味でも、読んでよかったです 。maitaさんありがとうございました。