ミニレビュー
イタリア人の学者さんが書いた、行動経済学の入門書。これまで類書で読んできた知見や事例の総ざらえといった感じでした。
これまで得られている知見をざっと理解するにはいいと思います。事例やクイズも豊富で、自分でやっていくのも楽しいと思います。ただ読み物としてはやや事例の羅列っぽい。辞書・情報源としては索引や文献情報が無いので使いづらい。そのあたりにちょっと中途半端な感じを受けました。
あと、全体には軽妙な調子を感じるものの、一読では意味のとりづらい文章がやや多めです。例えばこの一文。一文だけの引用なので内容が分かりづらいところは置くとしても、文章表現にもう少し工夫の余地があったように思います。
引用:
しかしもし、実際にあることとあるべきことのあいだの距離を縮め、この両者のあいだを隔てる移ろいやすく混乱した感情、未来への視線にまとわりつく希望と不安の入りまじった感情を取り払ってしまったら、ちよっとした外出さえしなくなってしまうことだろう。(p190)
内容面でいうと、上の「実際にあることとあるべきこと」がそれぞれ前段の何に対応しているのかが分からなかったりしました。
合理的な意志決定の練習に役立つ本ということで、このカテゴリに。