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生協の白石さん

  • タイトル:生協の白石さん
  • 著者:白石 昌則(著)、東京農工大学の学生の皆さん(著)
  • 出版社:講談社
  • 出版日:2005-11-03

ミニレビュー

質問と回答のやり取り、特に文書によるやりとりは、難しい。

先日、企業のお問い合わせ窓口にメールで質問をしたときのこと。2往復くらいした、どのメールの冒頭にも「ご迷惑をお掛けして申し訳ございません」という文章がありました。あたかも時候の挨拶のごとく。
「キレられたら困るから、とりあえず下手に出ておけ」ということなのかと、つい勘ぐってしまいます。
一方、技術に関するQ&Aサイトなどでは、専門家が非常に辛辣な調子で質問者をやりこめているのを目にしたりします。
どちらも、なんとなく「気持ちのいいやり取り」ではありません。

この本は大学生協の「ひとことカード」という掲示板(ネットではなくてリアルな掲示板)でのやり取りをまとめたもの。主役は回答者の白石さんという職員の方。わたしも回答者のつもりで回答を考えてみましたが、いつも白石さんの方がいい。

だいたい、「牛を置いて!」などというくだらない質問に回答するために職員やっているわけじゃない。わたしが職員なら、もっと毅然と回答して……掘り起こせたかもしれない学生のニーズ、ヒット商品の兆しをすくいそこねてしまうのではないか。そう感じました。

勝手ながら、「白石さんの心構え」をわたしなりにまとめてみました。

1.敬意。相手に対して敬意を忘れない。相手の状況を決めてかからない。
2.誠実。自分の職務に忠実に。
3.ユーモア。一息分の余裕をこめる。

トンデモに思える質問であっても、(1)まずは受け止め、(2)生協として対応できるかできないかという視点で回答し、(3)ユーモアでくるんで回答する。

いやー、見習いたい。