ミニレビュー
わたし自身は現在会社員ではないものの、「月曜日、駅のホームで会社に行きたくなくなったとき」の気持ちはよく分かるだけに思わず手に取ってしまいました。
カウンセラーの方が書かれた軽度の「うつ」に関する本です。「月曜日、駅のホームで会社に行きたくなくなったとき」は、軽度の「うつ」の入り口である可能性があります。
どうやって立ち直るかといった方法については必ずしも具体的に書かれていません。しかしカウンセリングの事例が豊富なので、「ああ、わたしもこのまま行くと本格的に『うつ』になるぞ」というシグナルを自覚することができるかもしれません。
ちなみに、著者の個人的な観察として「うつになりやすい7つの資質」を挙げています：
1.自分を積極的に表現しない。あるいは自己表現があまり得意ではない
2.協調性が高い。あまりわがままをいわない。勝手なことをしない
3.几帳面。正確にものごとをこなす
4.自己分析にすぐれている
5.自らの役割、責任をよく果たす
6.思いやりがある。人への配慮にすぐれている
7.表立っていないが、強い自尊心をもっている
（第三章 人はどうしてうつになるのか）
いわゆる日本人気質ですよね。著者は、上記が『日本人に多く見られる資質といってもいい』とした上で、このように述べています。
しかしながら、そのような感覚自体は私には悪いこととは思われない。もちろん何でも行きすぎてしまえばよくないとういことはあるが、日本が世界一治安がよく、安心して暮らせる国であるというこれまでの日本社会のあり方は、このような私たちのメンタリティに依っているところが大きいのではないだろうか。
（第七章 日本人の中にある「うつ」）
…というわけで、わたしなりにこの本をまとめると、こんな感じです。
・「うつ的メンタリティ」は撲滅すべき対象ではなくどちらかというと美質です
・ただし「うつ」に傾きがちなので、上手に付き合っていきましょう