- タイトル:あくせくするなゆっくり生きよう!―人生に不満を持たない生き方 (角川文庫)
- 著者:カールソン,リチャード(著)、ベイリー,ジョセフ(著)、Carlson,Richard(原著)、Bailey,Joseph(原著)、章子, 大沢(翻訳)
- 出版社:角川書店
- 出版日:2001-09-01
ミニレビュー
Ariponさんのココロミを読んで興味を持ちました。
自分宛に意地の悪い手紙を書き、それを読んで腹をたてるような人はいないだろう。ところが思考に関していえば、私たちはこれとまったく同じようなことをしている。たとえば、私たちは人生は不公平だと証明するような考えを次々と思いつき、人生とはどうしてこうも不公平なんだろうと真剣に考え込む。あるいはまた、今日やるべきことを延々と書き並べたリストを思い浮かべ、なぜいつもこう忙しいのだろうと、時間が足りないことを嘆いたりもする。
著者の主張をわたしなりに簡単にまとめます。
まず『感情は人生の羅針盤』です。その感情は大雑把に言えば快と不快の二種類しかないのですから、羅針盤に従い、快を増やすような生き方をすればOK。
ところで『感情は思考から生まれる』ものです。ある出来事に対してどのような感情を持つか、それは自分の思考がコントロールしているということです。
自分の思考が感情をコントロールしているといっても、我々は意識的にそれをやっているわけではありません。実態はむしろ逆で、ネガティブな思考にとらわれていて、それがネガティブな感情を引き起こしている。
ではどうやったら自分の考え出したことに過度にこだわらずにすむか。そこがこの本の主眼なのですが、「今、このときに集中する」こと。この本は繰り返し、手を変え品を変え、「今」に集中することの大事さを説きます。
「今」に集中するとは、「分析的思考法」(普通に使われる意味での思考)でない「流動的思考法」と呼ばれる思考法を活用することだそうです。
流動的思考法とは何か、理解できたとは言い難いですが敢えて説明すると、例えば仕事やゲームに「ノッている」ときの感じ。フロー体験と言われたりしますが、とても集中できていて、意識的に頭を働かせなくても考えが進んだりするような感じ。そういうときはたしかに「今」に集中していますね。
不安やストレスは、わたしたちの心が、「今」を離れ、否定的な分析的思考に陥っているために生じる。自分の考えにのめり込んでいるとき、わたしたちは一度に二つも三つものことをしようとする。過去や将来のことを、あれこれ考えて悩み、たいていの場合、目の前の仕事もうまく片づけられない。もしわたしたちが、流動的思考の持つ素晴らしい力に気づくことができれば、つまりその時々に集中し、落ち着いて、一度に一つずつ仕事をこなしていくことがどれほど効果的であるかがわかれば、失敗は少なくなり、喜びや満足を感じることが多くなる。そして本当に、前より仕事がはかどるようになったことに気づくだろう。