【「情報デザインの教科書」のデザイン‥‥】
旅行ガイドなどで、ポケットに入りやすいようにタテ長にしてあるものがある。あの形をしているのだが、これが読みにくいのなんのって感じで、閉口してしまった。机の上に置いて読もうとすると、「プルッ!」とひっくり返って、ページが閉じてしまう。この、閉じてしまう勢いたるや強力で、ページの両側に文鎮を置いてもまったくダメである。こんな仕事は本の設計とは言えない。
装幀の基本的な話になってしまうが、ページをめくると、紙の自重でぴたりと静止して、戻ってこないものが読みやすい(当然)。そのために、紙質やタテ目・ヨコ目にも配慮がなされる。木材に木目があるように、紙にも繊維が走っている方向によって「強度」が異なるのだ。‥‥といっても、だいたい決まっているから、いわば常識のはず。
「情報デザイン」は、もちろん「いわゆるデザイン」の話ではない。情報をいかに扱うか、知のセレクトショップをいかに経営するかという展開になるのだろうと思う。興味ぶかいテーマだけに、「いわゆるデザイン」へのリスペクトもほしかった。そのほうが、読者も増えると思うし。