図書館で見つけて、ふと読んでみたくなりました。昨年発売のまだ新しい本ですが、「お経の解説書」といった堅苦しさは全くなく、般若心経のすべての言葉について、実に平易な言葉で解説されていました。しかも、現代に生きる上で、その教えをどのように活かすかという愚弟的なアドバイスもあるので、いっそうわかりやすくなっています。(ちょっと首をかしげたくなるところも、まったくないわけではありませんが)
般若心経というのは、死後のことについてのものではなく、現世を生きる上での心構えや知恵について書かれたお経だということを、恥ずかしながら初めて知りました。しかも、単に苦しみから逃れるための心の持ちようといった消極的なものではなく、かなり行動的・実践的な内容もあり、自分の生き方をチェックするにも、大いに役立ちそうです。
たとえば、悟りを得るための修行として、6つの波羅蜜多行を行うべきことが(般若心経の言葉ではなく、この本の中にですが)書かれていたのですが、これは山奥やお寺で行うような修行ではなく、日常実行可能な次のような行動だとのことです。
1.「布施」→人に貢献すること。
2.「持戒」→人としてすべきでない10のルールを戒めること。
3.「忍辱」→人から冷たくされても、我慢して暖かい気持ちを返すこと。
4.「精進」→自分自身の向上のため努力すること。
5.「禅定」→常に心の落ち着きを保つこと。
6.「知恵」→人に思いやりの心を持ち、人生について深く考えること。
般若心経の中では、この「般若波羅蜜多」という言葉が全262文字の中で5回も登場するということからも、この「行動原理」を非常に重視していることが分かります。
ほかにも、「空」の解釈や感情の乱れについての処理方法に関する知見など、なかなか勉強にもなりました。
案外、「考える、動く、そしてまた」の起-動線の理念や、意志決定に当たっての心構えなどにも通じ、起-動線との親和性は高いのかもしれませんね。