熟慮、しかるのち決断
「熟慮、しかるのち決断」というノートを書いたのは、もう8年近く前です。元ニューヨーク市長ルドルフ・ジュリアーニの著作からまとめた「ルドルフ・ジュリアーニの決断プロセス」を再掲しておきましょう。
- いつまでに決断しなければならないかを知る
- すぐに検討を始める
- 可能なかぎり時間をかけて熟慮する
- 考えを変えることをためらわない
- ぎりぎりまで決断せず、自らを中立に保つ
- 決断を下したら、それを固守する
ルドルフ・ジュリアーニの決断プロセス – *ListFreak
決断はMの字で
それ以来、常にこのリストに沿って決めてきたわけではないものの、「熟慮、しかるのち決断」は指針の一つとして有効に機能しています。6項目は多いので自分の中で自然に淘汰され進化して、”M”の一文字にまで集約されました。名づけてM字型意思決定です。
M字の意味はシンプルで「考える期間の最初と最後によく考える」ということです。横軸に時間、縦軸に思考の密度あるいはエネルギーを取ったグラフがあるとします。あることについて決めなければならないとわかったときには、まず考え、期限ぎりぎりまで寝かせておいて、最後にまた考える。するとグラフは両端が盛り上がった「Λ_Λ」型になります。これをM字と呼んでいます。
たとえば、仕事の依頼を受け、ちょっと引っかかりを感じたとします。そんなときがM字を使うチャンスです。
- 回答期限を確認したうえで、気になることを書き出します。その作業がしっかりできれば「これが決められれば決められる」という論点の候補が絞れます。
- それらの「気になること」をリストにし、回答期限の前日まで決断を保留します。調べ物であっても、特に期限や優先順位は決めずにおきます。気になって仕方ないものは自然と空き時間に調べたくなるもので、これが意識下の興味を確認する方法にもなります。
- 期限間近になって、もう一度検討します。悩むポイントは変わらないことが多いものの、意識下での検討を経ていることもあり、お引き受けすべきかそうでないか、自信を持って決められることが多いと感じています。
上記は数日レベルでのM字ですが、数分レベルでも、いったん意識下に追いやることで決断の満足度が上がるという研究があります(「無意識の力を借りて決断の満足度を高める」)。
この知見を考慮して、引っかかりを感じない仕事でも即答せず、小さなM字を作るようにしています。たとえば午前中にいただいたご依頼はランチを挟んで回答するとか、その程度です。それでも早まらずによかったと思えることがしばしばあります。