企業向け人材紹介サービスを手がける会社のコンサルタントT氏からお聞きした話から。
コンサルタントとしての妙味は求職者と求人企業が互いにベストマッチと思える就業・雇用機会を創り、しかも長い期間が経過した後もその想いが継続するような紹介サービスを行うことだそうです。難しいのは、ミスマッチが生じた場合、とりわけ求職者の経歴が希望する職種に沿ったものでないケースだそうで、例えば何年も営業畑を歩いてきた人が企画部門での就業を希望しても、採用する側の企業としては経歴重視の評価をせざるを得ないためマッチングが容易ではないわけです。
至極もっともなことだと思ってしまいますが、年齢的に若く柔軟性を感じさせる人であれば潜在的な能力を伸ばし発揮するチャンスを与えてあげたいと思ってしまうとのこと。業務遂行にあたって特定の専門知識やスキル、経験が重要であることに違いはないものの、こうした能力は自身の努力によって克服可能なものであり、むしろコミュニケーション能力、交渉力、発想力など職業人として誰もが要求されるジェネラルな能力に秀でていれば欠けている能力を補ってなお余りある力を発揮できる可能性があるのではないかと思われるそうです。
ところがこうしたジェネラルな能力を採用側が判断できるような形で職務経歴書や短時間の面接で表現することは困難なため、評価は経歴主義に偏らざるを得なくなります。このようなケースにおいてコンサルタントとして求職者に対する際に心がけておられるのは、キャリアデザインについてじっくり検討し、自分が真に望む就業を実現するために身につけるべき能力の向上を図る機会を見出し、客観評価されるような実績を積み上げる努力をするよう、押し付けとならないように勧めることだそうです。
T氏のお人柄を知る者としては、現実的な対応をしつつも相談にこられた求職者が今後の採るべき行動目標を自覚できるような丁寧懇切なコンサルテーションをされていることは想像に難くありません。
人材紹介コンサルタントには2種類有ります。1つは求職者担当、求人企業担当それぞれの専門制により紹介ビジネスとしての効率を重視する形態。もう1つは求職者と求人企業双方を担当し紹介業務全般を担う形態。人の人生を左右する重要なサービス事業に携わる立場にある者として求職者と求人企業との間に立って行うコンサルテーションでなければ喜びも充実感もないと仰るT氏。結果的に自分にとって最も望ましいと思われる就業先を紹介してさえくれればいいのだという考え方もありますが、転職という大きな転機の際に自分の立場に立って一緒に考えてくれるコンサルタントの方にお世話になってこそ、納得の結果への近道になるような気がします。
人材紹介をはじめとする専門サービスは、競争の激化に伴い高度化・多様化が進んで便利なものとなってきていますが、数ある選択肢の中から自分に最も資するサービスを選り分ける手段を講じる重要性が一段と増していると思います。「優れたサービスを選択する手段」、あなたは持っていますか?(自問自答を込めて)