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コンセプトノート

226. 過去を振り返らなければ後悔しない?

「正しいが、なにか変だな」と感じました。

過去を振り返らない
後悔は、起こらなかった場合の反事実的な想像から生じる。将来を見ているならば、後悔はしない。(『後悔しない意思決定』p103)

統計学の立場から(その人にとって)最善の意思決定を定義しようとしているのが『後悔しない意思決定』という本。とても面白く読みました。後悔の念を数値的に定義して、その大きさを最小化するための考察がめぐらされています。そして最後には、こんなアドバイス集が添えられています。

大事な問題は、能動的に決定する
確固とした目標をもて
己を知る
客観的に将来を見通す
過去を振り返らない
(p102)

「己を知って」いれば、つまり自分の価値観が一貫していれば、後悔は小さい。
「客観的に将来を見通せて」いれば、期待と現実の落差が小さくなるので、後悔は小さい。論理的にはすべて納得なのですが、「過去を振り返らない」だけは異質です。

「過去を振り返るな」というアドバイスには、どこか後悔の定義をひっくり返して当てはめただけのようなところがあります。たしかに過去を振り返りさえしなければ、目標が無くても己を知らなくても、何にせよ後悔しないのです。なぜなら、後悔は過去を振り返って初めて生じる感情だから。

過去を振り返って自分の意思決定を見つめてなお、「当時できた最善の意思決定だった」と思えるような意思決定。起-動線が目指しているのはそのような「意志」決定を支援すること。上のアドバイス集の最後を除く4つは、その観点から的を射ていると思います。