企業がブランドを大事にするように「自分」というブランド戦略を練ることが大事だ、と最初に(少なくとも一番大きな声で)言ったのは、トム・ピーターズです。1997年の夏にFASTCOMPANY誌に掲載した“The Brand Called You”(「あなた」というブランド)がそのさきがけ。
それから7年。今度は「自分ブランド:サバイバルキット」(“Brand You Survival Kit”)というコラムを書いています。
そのリードはこう。
『1997年に彼が初めて「自分ブランド」と言ったとき、それは「ちょっとカッコイイ」ことだった。今では生死に関わる問題だ。』
ちょっと煽り口調ですが、新著の宣伝ではありません。厳しいアメリカの労働市場の現状を淡々と眺め、「個人としてやるべきことをやろう」という問い掛けだと感じましたので、ごく簡単に訳してみます。
気持ちが落ち着かなくなるようなことも書いてありますが、最後まで読んでみてください。
≫ 自分の「付加価値」を考えよう (Think About Great Gigs)
あなたはどれだけの目に見える価値を仕事に付加できているだろうか?(経理・人事のような)バックオフィス部門のひとは数字で示すのは難しいかもしれない。そんなときは自分が外注のコンサルタントだったら?と考えてみよう。
≫ 自分のスポークスマンになろう (Be a Spin Doctor)
「エンジニアマインド」すなわち「実力があれば正当に評価されるはず」というメンタリティでは不十分。自分の価値をきちんと表現する努力をしよう。
≫ 一芸に秀でよう (Master Something)
Tim Monichという名前を聞いたことは無いと思うが、ハリウッドで俳優に外国語の発音を指導しようと思ったら、彼がナンバーワンだ。これが自分ブランドの好例だ。
35歳を過ぎたのに、おカネが貰える芸を持っていない?ではあなたは「旅人」にすぎない。
≫ 失敗は笑い飛ばそう (Laugh Off the Fabulous Screwup)
ユーモアのセンスは「自分ブランド」時代には必須だ。成長には失敗がつきもの。失敗を笑い飛ばし、次にチャレンジしよう。
≫ 曖昧さを歓迎しよう (Embrace Ambiguity)
たとえ一芸に秀でたとしても十分ではない。環境は変化する。変化に「付き合う」のではなく、変化を「楽しもう」。
≫ ロイヤルティーは常に武器だ (Loyalty Ain’t Dead)
ロイヤルティーを発揮すべき対象は組織ではなく、人のつながりだ。これはかつてなく重要になってきている。人のネットワークを大事にしよう。
≫ テクノロジーに目を配ろう (Appreciate New Technology)
エキスパートになる必要は無い。しかし新しいテクノロジーはいつの間にかあなたのビジネスをひっくり返すかもしれない。
子供のように無邪気に、しかし老人のような懐疑心を持って、テクノロジーと付き合おう。
≫ 満足するな (Never Be Satisfied)
変革に終わりは無い。長くても6年くらいでスキルポートフォリオを見直そう。合言葉は”distinct or extinct”(目立つか、さもなくば消え去るか)。