短期的な選択は情動脳が、長期的な選択は理性脳が、それぞれ勝る
脳は、合理的に考える力を司る部位と、目先の快感や利益に反応する部位が分かれているそうです。そこで、ある選択をしているときの脳の働きを調べ、人間がどのように理性的に、あるいは情緒的に、選択するのかを知ろうとする研究が行われています。
いま前者(前頭前野背外側皮質)を「理性脳」、後者(辺縁系)を「情動脳」とすると、以下のような傾向があるとのこと。
「今日」などの近い選択では情動脳が、一定期間以上の長い期間では理性脳が相対的に優位に働くという。(p68)
― 『「数字脳」を鍛える!』 週刊ダイヤモンド 2008/06/07号
この記事では、早稲田大学の晝間文彦教授の研究も紹介されていました。お金がもらえるとなった場合、もらう額ともらえるまでの期間によってお金の主観的な価値がどう変わるかを研究し、『金額が小さいほど、受け取るまでの期間が短いほど、”今欲しい”というせっかち度が上がる』ことを見出したそうです。また債務相談者とそうでない人を比較すると、債務相談者の方がせっかち度が高かったとのこと。
決め方を決めておく
上の研究は、「人は目先の快感や利益に弱い」傾向があることを示しています。ではあらかじめ決めておけばよいのかというと、そう簡単ではありません。決断は、ぎりぎりまで待った方がそれだけ不確定性を排除できるので有利です。決断を延ばすことにはコストを掛けるだけの値打ちがあり、その最適コストを考えるのがオプション理論(金融)やリアルオプション(経営など)の考え方です。実際問題としても、あらかじめ決めておけることばかりではありません。
となると、情動脳に振り回されないために我々に出来るのは「決め方を決めておく」ことではないでしょうか。自分の判断基準は何か。それを選択肢にどう照らし合わせて決断に至るか。そういったポリシーを、理性脳がよく働いている平時に作っておくべきということです。
これは書き出しておくべきでしょうね。できれば、その決め方に至った理由も書いておく。決断の土壇場では、それが理性脳の応援団になってくれるはずです。