“企業や個人の知的資産を科学的アプローチにより抽出・整理し「ナレッジ」(知識、知恵)として活用できるように総合的なプロデュースを行う。”
これは資産工学研究所 代表の坂本善博氏の事業活動で、いわば企業と個人の知的資産のコンサルティング業です。「本質思考法」というテーマで氏のお話を伺う機会を持ちました。
本質を捉えるために、人の日常の行動の中から事象の客観分析を行うための根拠となる「原理」と、行動の指針となる「原則」を抽出・整理し、そして実際の行動様式を導くという手法理論が中心テーマでした。分かり易く言うと「暗黙知を見えるようにして、それを活かして行動へと導く」ということです。最初は「なんだか難しそう」と身構えてしまいましたが、ワークショップを交えるなどして具体的な事例を提示していただいたこともあり、ほどなく「要は、思考の整理整頓の方法のことだな」と自分なりに解釈できて楽しい時間となりました。
“分類(テーマ) — 原理・原則 — 内容”というフレームワークに沿って事象を整理していくのですが、イメージし易いように氏より提示いただきました事例で示します。
事例)
分類:仕事の定義
原理・原則:仕事は資源を投入して成果を上げることである。
内容:仕事は、一定時間中に、すなわち一定の資源を活用しながら上げた成果によって測られる。以上を数式化すると、次のような仕事の方程式ができる。
【仕事=成果/資源】
そして、仕事の生産性を高める(仕事の改善パターン)には次の2種類の型がある。
1.効率追求型:【効率=成果→/資源↓】(定例会議、事務処理、発注書作成、出張時の異動など)
2.効果追求型:【効果=成果↑/資源→】(顧客ヒアリング、提案書作成、顧客プレゼン、戦略立案、企画会議など)
これで、「仕事とは何か」という本質と仕事の生産性を高めるための考え方が整理されました。上の例はやや大きなテーマですが、導き出した内容の各項目(例えば定例会議)を同様のアプローチでブレークダウンしていくと、実際の仕事の仕方を変える具体策に到達できるということだそうです。
氏の講義で面白いなと思ったのは、この本質思考法則というフレームワークを書籍の要約から個人の生き方を考える場合など、あらゆる事象に適用されていることです。
手法こそ異なっているものの、起-動線の「自分ナビ」作成プログラムも、意志決定のステップおよびライフアーキテクチャというフレームワークを使って自分のポリシーを探っていき、そして漠然と持っていた自分のチャレンジに明確な動機と覚悟を与える、というアプローチを行います。
日々流れていく時間の中でややもすると置き去りにしてしまいがちな事象に留意し、本質の見極めから行動様式の変化を導く行為を慣例化させるという試み、起-動線との共通軸を感じました。
追記:
坂本氏の講義をお聞きしたのは、ビジネスパワー塾という社会人向けのスクールを運営するメビレーションという会社が主催したセミナーの席でのことでした。懇意にさせていただいている代表の小松直美さんに声をかけていただいたのです。
個人の仕事力・人間力を伸ばす観点から、こうしたセミナーや講座の企画・運営や卒塾生のオープンなコミュニティの場を提供されています。人に関わり導くことが天職だと言って憚らない、深い人間力と情熱をお持ちの方で、お会いするたびに刺激を与えてくださいます。メビレーションはリアル、起-動線はネット中心で、サービスを提供する場は異なりますが、共に主体的な生き方を模索する社会人の支援活動を行っています。
※ 「自分ナビ」作成プログラムは提供を終了しています