ひとつひとつの決断が積み重なったものを意思決定と呼ぶならば、決断は「動作」であり意思決定は「状態」である。
前回のこの理解に基づいて、「ひとつひとつの決断を振り返ることで、自分の意思決定のスタイルをチェックする地図が作れないか?」と考えていました。
前回も引用した「組織の経営意思決定に見られる5つの病状」(『経営意思決定の原点』)を眺めていると、病状は大きく2つに大別できます;
- 決められない:優柔不断
- 決め急ぎ:拙速
- 決めたはず:決定事項が実行されない
- 決めっ放し:決めたことの評価・見直しの欠如
- 決めすぎ:頻繁な変更による資源の浪費
組織の経営意思決定に見られる5つの病状 – *ListFreak
「決められない・決め急ぎ」は、決断に至るタイミングがそれぞれ遅すぎる・速すぎるということです。「決めっ放し・決めすぎ」は、決断したあとのモニタリング(評価と変更)がそれぞれ放置状態・頻繁すぎということです。
「決めたはず」(実行の欠如)は、「決めっ放し」から発生する二次的な病状なので、意思決定のスタイルをチェックする目的からは「決めっ放し」に含めることができます。
この2つの軸でマトリクスを作ったのが右図です。
過去の決断を「決めるまでのタイミング」と「決めた後の変更」という観点から振り返り、プロットを打っていきます。プロットの偏りや散らばりによって自分の決断のクセをチェックすることができるはずです。
あるべき意思決定のスタイルとは、個々のプロット(決断)が中央に集まっている状態です。それを目標として決断のスタイルを修正していくことで、意思決定の「健康」を維持できるのではないでしょうか。
まだ実際に試していないのですが、同じ人間の決断であっても、問題の性質によってクセの出方は違うと予想します。
そこでそれぞれの象限にラベルを貼り、プロットを中央に寄せるために気を付けておきたいことを書いてみました。
「浅慮」:すぐ決めてしまい、あとは放置
もう少しねばり強く考えれば見えてくる、新しい選択肢がある。決めて終わり、でもない。意思決定は一連の決断の積み重ねであることを思い出そう。
「流されるまま」:なかなか決めないが、決めてしまうと放置
状況が選択肢を狭めてくれるのを待ってしまっていないか。仮決めしてみて、何が見えてくるか試しながら前進しよう。
「覚悟不足」:なかなか決めず、決めたことも頻繁に変える
最初は試行錯誤があってもいい。その代わり、腰を据えてかからないと大きな成果は望めないことを心しよう。
「ムダ弾(だま)」:すぐ決めるが、決めたことを後から何度も変更する
急がば回れ。これまでよりもすこし長期に、幅広く、深く考えてみる。