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コンセプトノート

261. 信頼をドルコスト平均法で積み立てる

「ドルコスト平均法」という積み立て方をご存じのことと思います。(定期的に)定額ずつ買い付けていく方法です。金額が一定なので、投資対象が高値の時は少なめに、安値の時は多めに、それぞれ買うことになり、定量ずつ買い付ける方法よりも有利とされています。心理的なメリットも大きいですよね。下手に市況を読んでやろうと思うと、つい高くなると買い増して、下がると売り立ててしまい、結果的に損ばかりしてしまいます。

 投資とは関係ありませんが、一貫したメッセージによって「信頼」をドルコスト平均法のように積み上げている方がいます。例えば、さわかみ投信の澤上 篤人社長。わたしが7年越しで読み続けている月2回のコラムで、氏は常に同じことを書かれています。
 市況が下げても動じずに買い向かい、上げれば利益を確定してキャッシュを貯える。ワンパターンであるがゆえに、経済状況の上下動を経るにつれ、氏の一貫した姿勢への信頼は厚みを増してきました。

 ところで、金融商品の価格だけでなく、チームのムードも上下します。それは外部要因によることもあれば、内部の雰囲気が悪くなったためかもしれません。そんなときに際立つのが、同じことを言い続けてくれるリーダーあるいは仲間の存在。
 状況が悪いときには「やるべきことをやり抜こう」と言い、弱気になっている皆を励ます。状況が良いときにも「やるべきことをやり抜こう」と訴え、皆が悪ノリするのを防ぐ。実は同じことを言い続けているだけなのです。
 しかし、まさに「ドルコスト平均法」の論理で、ムードの揺れが大きいほど信頼を積み上げていきます。この信頼の良いところは、本人のカリスマ性や抜きん出たスキルなどとは無縁であるところ。誰でも積み立てていくことができます。