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コンセプトノート

120. 人生に消しゴムはあるのか

「過去は変えられるけれど、未来は変えられない」
 これが現実です。
 なぜ、過去が変えられるのかというと、昔のことを思い浮かべるとき、過去の出来事はもう「思い出」ですよね。「思い出」というものは、後でいかようにも変えられるんです。

斎藤一人さんの『ツイてる!』に、こんな言葉がありました。

この文章はわたしに「人生に消しゴムはない」という言葉を思い出させました。ホンダの創業者本田宗一郎氏の言葉と記憶しています。

以前の大失敗を思い出して眠れなくなったときや、メールの送信先を間違ってしまって後頭部がギュッと冷えるような思いをしたときなど、まさに「消しゴムが欲しい」ときに必ず思い出す言葉です。

「過去が変えられる」というのを読んだ瞬間、そうであれば人生に消しゴムがあるということかな、と感じました。しかしそれは違いますね。

人生に消しゴムはないが過去は変えられる。つまり
事実は残るが、それをどう解釈するかは本人に任されている。
これはなかなか重い言葉です。

たとえば誰かのせいで自分が大失敗をしたとしましょう。
自分が失敗をしたのは事実。
その原因が誰かさんのせいだったのも事実。

その大失敗には責任が無くても、その事実をどう語るかは100%自分の自由であり、責任です。

「あいつのせいだった」「自分にも落ち度があった」、どのように解釈しても事実は変わらない。変わらないならいっそ「ツイてた!」と解釈してみる。
もちろん依然として過去の事実は変わらないが、事実は解釈によって現在を、そして未来を、変えていく力になる。
「過去は変えられる」という言葉にはそのような重みがあります。

……と、よけいな「解釈」をするより、斎藤さんの分かりやすい文章を引いた方がよさそうです。

 それで、人間は、おもしろい。今がしあわせだと、過去の不幸がしあわせなことに思えてしまう。過去の嫌な出来事が、今の自分の宝なんだと思えてしまうものなんです。
(略)
 こんなふうに、過去のどんな出来事も「しあわせ」と思える人は、今も「しあわせ」です。今が「しあわせ」だからこそ、未来がしあわせになるんです。
 未来を変えられるのは、こういう場合のことです。

#論理的には
「今がしあわせだと、過去の不幸がしあわせなことに思える」
なら
「過去のどんな出来事もしあわせと思える人は今もしあわせ」
とは言えませんが、それでも説得力があります。