ベイズ推定
- いつまでに決断しなければならないかを知る
- すぐに検討を始める
- 可能なかぎり時間をかけて熟慮する
- 考えを変えることをためらわない
- ぎりぎりまで決断せず、自らを中立に保つ
- 決断を下したら、それを固守する
ルドルフ・ジュリアーニの決断プロセス – *ListFreak
初期仮説を立て、情報を採り入れ、仮説を修正しながら熟慮を続ける。こういった決断プロセスを磨くヒントとなりそうなのが、ベイズ推定と呼ばれる法則です。『後悔しない意思決定』という本に、ベイズ推定の分かりやすい解説が載っていましたので、まずはその事例を引用します(p54より)。
あなたは医師で、患者がAかBかCのどれかの病気に罹っています。あなたはそれぞれの病気である確率「P(病気)」を以下のように見立てました
P(A)=0.5, P(B)=0.1, P(C)=0.4 (注1)
これらの病気にはDという検査を行うことができますが、確実ではありません。これまでの結果から、それぞれの病気の人がD検査で陽性になる確率は以下であることが分かっています。
P(D|A)=0.8, P(D|B)=0.4, P(D|C)=0.1 (注2)
さて実際に検査をしてみたところ、陽性でした。この事実によって、あなたの見立てはどのように修正されるべきでしょうか?
過程は省略します(注4)が、ベイズの定理に従えば、検査結果によって初期の見立ては下記のように修正されます。
P(A|D)=5/6, P(B|D)=1/12, P(C|D)=1/12 (注3)
意志決定に活かす
最初の見立てを「事前確率」、検査結果によって修正した見立てを「事後確率」と呼びます。興味深いのは、事前確率は「主観確率」であること。
この本には、ベイズ推定は『分かったことから、わからないことを確率によって推測する方法(p55)』であると説明されています。
上の例では、確率のはっきり分かる「検査」がありました。我々のチャレンジにおいてはそこまで便利な「検査」はありませんし、これだけで意志決定できるものではありません。しかし、当初の「見立て」を客観的な「検査」によって修正していく方法があるというのは心強い知見です。興味を持たれた方は、ここで引用した本や下記のWebサイトに当たってみてください。
注1:P(A)+P(B)+P(C)=1。
注2:P(D|A)は、病気Aが原因で検査Dが陽性になる確率
注3:P(A|D)は、検査Dが陽性だったときにその原因が病気Aである確率
注4:P(A|D) = P(D|A)P(A) / ( P(D|A)P(A) + P(D|B)P(B) + P(D|C)P(C) )