「自分らしさ」は、他者の信任を得るうえで極めて重要。しかし、そのために自分を深く理解する必要はない。『なぜ、あなたがリーダーなのか?』は、そのような実用的な視点を持っています。(注1)
良いリーダーはその特徴として、「他人に影響を与えうる」自分らしい「何か」を認識しているものだ。リーダーは、周りとのやりとりを繰りかえす中で、自分がどう見られているか、また、自分への印象をどう形づくるかを学んでいく。ただし留意してほしい。(略)その何かが、なぜ・どのようなメカニズムできくのかの掘り下げは必ずしも必要ではない。「それがきく」と認識できていればよいのだ。
『なぜ、あなたがリーダーなのか?』(p57)
「自分らしさ」というものを、ある種のブラックボックスと捉える発想ですね。リーダーという役割を演じるとき、その人の「自分らしさ」を評価するのは、自分ではなくフォロワー(リードされる人)。
であれば、重視すべきは、「自分の言動」と「フォロワーが受ける影響」とを観察すること。両者のフィードバックループを形成しようと努めるなかで、リーダーはフォロワーから自分らしさを学んでいく。そういうことだと理解しています。
とはいえ著者は、「他者に自分らしさを決めてもらうべき」「他者の期待に沿って振る舞おう」と言っているわけでもありません。日本人には自分を「汝の汝」として理解する傾向があるそうですから、ここは注意したいところ。
(注1) リンクは新版に差し替えていますので、ページ数に齟齬があるかも。