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コンセプトノート

131. キーワードを与える

よい研修には、ブレないメッセージがある

今週はある企業向けの研修で講師を務めました。その時に事務局の方から聞いた話です。

「以前、受講生から常に高い評価を得る講師がいた。研修の後で受講生に満足度を5段階で評価してもらうと、全員が5をつけるような話し手だった。

その方は、もちろんいろいろと素晴らしいスキルを持っていたが、際だっていたのは、その日のテーマを一言にまとめ、繰り返し繰り返し語るという、そのスタイルだった。」

集合研修に参加することも話すこともありますので、よく分かる話でした。

一日の研修であれば正味6時間程度ありますが、聞き手が翌日まで持ち越せるキーワードは1つ、多くて3つくらいでしょう。よく練られた研修は、小話から演習に至るコンテンツが、全て核となるメッセージに向かってぶれることがありません。そのように設計された世界に6時間も浸かってようやく、一つのメッセージが体に染み込んできます。

キーワードを決めることは、研修コンテンツを作る上でも大事なことです。ともすると、言いたいこと・言えることを羅列してしまいがちですが、キーワードを意識することで、内容の取捨選択が容易になり、語る順序に意味を持たせることができるようになります。
またその過程で、キーワード、つまり伝えたいと思っていたことと、実際に各スライドで言っていることが食い違っていることに気がつくこともあります。
その場合は、キーワードの方を変更した方がよいかもしれません。

キーワードはきちんと言葉で

この「キーワード」と「スライド一枚一枚」を行ったり来たりする作業は、「ありたい自分」と「日々やっていること」に置き換えることができます。キーワード、すなわち「ありたい自分」を意識することがなければ、日々がただ散漫になります。キーワードを意識すれば、「日々やっていること」から捨てること、変えることが見えやすくなります。

ポイントは、キーワードを「言葉にする」というところ。
冒頭の事務局の方がそんな思い出話をされたので、わたしは1枚のスライドを見せて「僕はこの3箇条に絞っています」と言いました。メッセージを絞るなんてことは分かってますよ、というつもりだったのですが、彼曰く
「まだ長いですね。一言、短い一文で言うとしたらどうなりますか?」

即答できなかったので宿題として持ち帰り、考えました。「短い一文」をひねり出し、もう一度スライドを組み立て直してみると…自分でも、ずっとスッキリする構成ができました。

※ビジネスプランを立てるという研修です。ご参考まで。