アートとハートの時代での幸運をお祈りします!(p349)
(“Good luck in the age of art and heart.”)
『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』
という本は、こう締めくくられていました。
この本で繰り返し語られている、来るべき時代の要約として
ぴったりの言葉です。
これからの社会人に求められるスキルやマインドを
考えることは、マクロには、簡単です。
社会は消費者の求めるものを満たしていきますから、
我々が一消費者として、こうであって欲しいという価値観を考えればよい。
それを提供できる企業や個人が、これから求められる存在のはずです。
そこで考えてみると、たしかに、
製品であれサービスであれ、比較検討できるならば、
アート性のあるもの、ハートがあるものを欲しいと思います。
わたしは百円ショップが好きでよく行くのですが、
低価格が売り物の百円ショップでさえ
デザインがどんどんよくなってきました。
グラスなど、数年前はいかにも「百円ショップらしい」感じでしたが、
最近は買ってもいいかなと思うようなものが出てきました。
ネットショップでも、心のこもった対応を
していただけることが増えたと感じています。
草創期には、大手のPCベンダーでさえ電子化されているのは
受付だけ、注文は印刷されて社内は紙で…という話を聞きましたが、
最近は小さなショップでもオペレーションがかなり自動化できています。
そこで浮いた時間を顧客対応に振り向けたショップが、
成長しているのではないでしょうか。
つまり、アートとハートの時代はもう始まっているのです。
我々が消費者としてそういった感性を身につけたのであれば、
B2B(企業間の取引)の世界にも影響を及ぼすはずです。
結局のところ、法人を構成しているのは我々自身なのですから、
「自分の商売は法人向けだからアートもハートも関係ない」
とはいかないでしょう。
法人顧客であっても、ハートを込めることが求められていくと考えます。
訳者の大前 研一氏は、解説でこのように書いています。
いままでは欧米に追いつけ追い越せでやってきた、常に「答えがあった世界」にいたわれわれが、「答えのない世界」に突入するにあたって、どうやって生き抜いていくのかを考え始めるきっかけになる本の一つだと思っている。(p25)
自分の仕事に「アート」はあるか。「ハート」はあるか。
それが成功につながった経験はないか。
このあたりが、「考え始めるきっかけ」になるのではないでしょうか。