○○君、
お知らせありがとう。大きな変化になりますね。どちらの道を選択するべきか悩んでいたので、とにかく決めたことでまずはホッとしているのではないでしょうか。
ご存じの通り、僕も勤め先が無くなったときに悩み、それが「個人の意志決定」という研究テーマを持つきっかけになりました。多くの方々へのインタビューもしてきました。今日はその成果を生かして(笑)、応援メッセージを贈ります。
選択した時点では、その選択自身には色が無い。つまり良くも悪くも成功でも失敗でもありません。選択の良し悪しを決めるのは何か。僕はこう考えます。
「この選択が良い選択であったと振り返れるようにしたい」
その思いで、日々の選択を積み重ねていくこと。
自分の選択に満足している方々であっても、その選択の結果が必ずしも成功だったわけではありません。選択したときの目的に照らして考えれば、失敗と言わざるを得ない方のほうがむしろ多いと思います。
しかし、ここが面白いところだと思うのですが、満足度の高い方は
「結果に合わせて目的をセットし直す」
ような作業をしてしまいます。
「まあ、こういう目的でやったことの結果だと思えば、かなりうまくいった」
という感じです。
ちょっと考えるとこれは本末転倒であって、自分の感情を合理化しているに過ぎないように思えます。でもそういう方々は、深く考えた上でそう解釈されている。それは、選択の目的にもまた目的があることを知っているからだと思います。
例えば転職の目的は職能を高めることかもしれませんが、職能を高める目的として「人間として見識を深める」さらには「人生を楽しむ」という大目的がある。
そのような大目的に照らすならば、「結果に合わせて目的をセットし直す」というのは非常に「強い」考え方です。
僕も創業時のプランとはかけ離れたところにいますが、当時の選択には満足しています。ただ、満足とはいっても
「底値で拾えたから、あのときA社の株を買っておいて正解だった」
というような、結果だけからくる満足とは違います。
この道でなければ得られない経験ができた。
この道を通ったからこそこの方に出会えた。
そして新しい目的も、そのための次の選択肢も、見えた。
そういう満足です。
○○君、ぜひ「転んでもタダでは起きない」精神で、その選択を「良い」選択にしていってください。
またゆっくり話しましょう
堀内 浩二