「AかBか」しかない、という二分法的思考への挑戦。それが『クリエイティブ・チョイス』のテーマのひとつでした。いわば、短絡思考への挑戦です。
われわれが挑戦すべき短絡思考は、「AかBか」思考のほかに、もうひとつあります。それは「AだからB」思考。われわれはとかく「AなんだからBだ!」と反射的に考えてしまいがちです。しかしちょっと考えてみると、「AだからB」だと無条件には言えないケースがあんがい多いものです。たとえば:
- 失敗した(A)ので、落ち込んでしまう(B)。しかしAとBの間には、「自分は完璧にこなさなければならない」という信念が隠れている。
- 売上が落ち込んだ(A)ので、インセンティブプランを実施した(B)。しかし「AだからB」と言えるためには、「売上低下は、営業マンへのインセンティブ不足」という原因が必要。
- 売上が落ち込んだ(A)のは、営業担当へのインセンティブ不足が原因だ(B)と思う 。しかし「AだからB」と結論づけるためには、何の売上がどう落ち込んだのかという問題の詳細化が必要。
- 良い製品を開発した(A)のだから、売れるはずだ(B)と思う。しかし「AだからB」と言うためには、その製品が買い手にとってどのように役立つかという特長の抽出が必要。
- この商品を買ってもらう(A)ためには、値引きもやむなし(B)と思う。しかし「AだからB」と言うためには、値引きこそ最善の手段であるという条件が必要。
……などなど。ここから抜け出すためには、そういったフレームワークをできるだけ仕入れておくとともに、必要に応じて自分の論理を批判的にチェックしていく姿勢が必要だと考えています。これはとても大きなテーマなので、時間を書けて考え、皆さんとシェアしていきたいと思います。