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コンセプトノート

372. 分析にも立案にも使えるフレームワーク「因縁果報」(2)

前回の続きです。

  • 【因】原因 ― 結果をもたらした直接的・構造的な原因。
  • 【縁】条件 ― 結果をもたらした間接的・偶発的な条件。
  • 【果】結果 ― 実際に起きた事象。
  • 【報】影響 ― 結果がもたらす影響。

分析にも立案にも役立つ「因縁果報」*ListFreak

前回は、すでに起きている問題の分析にあたってこのフレームワークを使うことを考えました。今回は対照的に、これから起こしたい未来を描くときのことを考えます。時制は次のように考えればよいでしょう。

現在  未来        
↓    ↓          
因──┬─果──報
      縁          
  【戦略立案】    

1.【因】と【果】

望ましい結果【果】を描いて、そのために必要な資源【因】を投入する。唯一【因】だけが、われわれが影響を及ぼせる要素です。

2.【縁】

しかし、【因】を用意すれば必ず【果】が得られるとはかぎりません。ビジネスでいえば、二社が同じように (1)顧客ニーズに応えた (2)性能の良い商品をつくって (3)十分なプロモーション活動をしたとしても、同じように支持されるとはかぎりません。

そこには偶発的な要素、つまり【縁】が働きます。たとえば、二社が同じように口コミ作戦を展開していたとしても、どちらかが「偶然」クローズアップされて、雪だるま式に評判が大きくなっていくことがあります。

【因】を絶え間なく、かつできるだけ多く投入しつづければ、それがいつかは予測できないにせよ、かならず【果】につながる【縁】が得られる。そう考えて「ビジネスの成功に偶然はない。継続的な努力あるのみ」という人もいます。

一方で、成功した経営者の中には、自らの成功要因を「運」だと言う人も少なくありません。知力を振りしぼって【因】を調えた人だからこそ、【縁】のありがたさを感じるのかもしれませんね。

これまでの話とは逆に、【縁】があっても【因】が用意できていないために【果】が伴わないというケースもあります。先ほどの例に続けるならば、運良く注目が集まったのに (4)需要に見合った供給を用意する ことがままならず、やがて忘れられてしまうパターンです。たとえば、FacebookなどSNSの先鞭をつけたのは、Friendsterというサービスでした。まっさきに【縁】を得たと言っていいと思います。しかし、急増するユーザーにトラフィックの増強が追いつかず、いわゆる「波に乗れなかった」サービスとなりました。

3.【報】

【報】は、予期せぬ展開と解釈したいと思います。何か【因】を投入したときには、【果】だけでなく思わぬ副産物が必ず生じるということです。

それが何か・それがいつ生じるかは分かりません。しかし「何か【因】を行ったときには、期待している結果【果】以外にも、必ず何か【報】が生じる」と心しておくことで、その【報】を別の【因】の新しい【縁】として活かしていけるかもしれません。