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コンセプトノート

633. 「やろう」と思うにいたる2ステップ

自己効力感

仕事の一環で「自己効力感」について調べていました。この造語らしい響きの言葉は “Self-efficacy” という造語を訳したもので、「自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるかという可能性の認知」(ウィキペディア日本語版)と定義されています。提唱者は心理学者のアルバート・バンデューラで、1977年の論文が初出のようです。

バンデューラはその論文で自己効力感の源(先行要因)として次の4因子を特定しています。日常的な言葉に訳すと:

  • 経験(行動の達成) … 自分自身が何かを達成したり、成功したりした経験
  • モデリング(代理経験) … 他人が何かを達成したり成功したりすることを観察し、自分にもできそうだと思うこと
  • 社会的説得 … 他者からの説得や励まし
  • 生理的因子 … 酒・薬物・情動がもたらす生理的変動

自己効力感(セルフ・エフィカシー)の先行要因*ListFreak

人がBをめざしてAをやろうと思うまで

論文を読んでいて興味を引かれたのは、その前段でした。バンデューラは自己効力感の定義を明らかにするために次のような図式を持ち込んでいます。

PERSON(人) ---(1)---> BEHAVIOR(行動) ---(2)--->  OUTCOME(結果)

(1) は効力予期 (Efficacy Expectation)、(2) は結果予期 (Outcome Expectation) という言葉が当てられています。

つまり、人がBをめざしてAをやろうと思うとき、そこには (1) 自分にはAができるという期待と (2) AをやるとBになるという期待の両方があるというわけです。自己効力感という概念は前者の効力予期を指しており、先述の4因子も効力予期の源を特定したものです。

再度、平たい言葉でまとめておきましょう。人がBをめざしてAを「やろう」と思うには、次の2つの予期が満たされねばなりません。

(1)効力予期:自分には行動Aができるはず
(2)結果予期:行動AをやるとBという結果になるはず

戦略立案としての自己効力感向上作戦

このモデルを眺めていて、戦略立案を思い出しました。一般的には、事業戦略は次のステップを踏んで立案します(箇条書きの番号は先述の自己効力モデルに揃えました)。

(2) 外部分析:ある業界において成功をもたらす条件とは何か
(1) 内部分析:その条件をわが社は満たせるか

そう考えると、経営資源や強み・弱みの把握といった戦略立案上の作業は、個人の自己効力感向上のために流用できそうです。逆に上記の4因子は組織の効力感を高めるためのヒントになるでしょう。