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コンセプトノート

224. 生活防衛資金と不安の防波堤

野茂投手のチャレンジ

大リーグに「転職」する日本人野球選手のさきがけであった野茂英雄投手。年収93%ダウンを受け入れての挑戦だったとのこと。

野茂投手の決断に勇気が必要だったことは、わざわざ憶測するまでもないでしょう。自分の給料が10分の1未満になってしまうことを、想像してもみましょう。

『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』(p127)

突然そう想像すると、たしかに大変なことです。ただ、大きなチャレンジを期している人〜たとえば起業を志している人〜は、多かれ少なかれ経済的苦境を覚悟しているもの。

恥ずかしながらわたしも初年度は色々アテが外れて年収9割ダウン組でした。ではなぜそのリスクを追う気になったか。当時を思い出して書いてみたいと思います。

生活防衛資金

一つは、「生活防衛資金」があったこと。これは『投資戦略の発想法』から借りた用語です。2年分の生活費をまず確保し、それ以外の資金で投資せよという戦略。2年分の生活費があれば、突然大きなリスクを負った(例えば失職した)としても余裕を持って職探しができるという話だったと思います。

この本を読んだ当時すでにベンチャー企業に勤めていたので失職の可能性は現実的であり、「2年分の生活費」はクリアできていました。そして実際にベンチャーが清算になったとき、再挑戦への決断を後押ししてくれたのは「生活防衛資金」の存在でした。

ちなみに生活防衛資金を見積もる上では、普段の生活費に加えて防衛モード(切り詰めた状態)の生活費を把握しておくことが大事です。防衛モードの2年分が最低限の生活防衛資金となるからです。

不安の防波堤

もう一つは、「不安の防波堤」があったこと。要するに「失敗してもなんとかなる」という楽観的な気持ちです。100%失敗しないチャレンジはチャレンジとは呼びませんから、チャレンジを続けるためには失敗への不安をコントロールすることが欠かせません。そのためには、楽観的な自分を取り戻せる何か ―必ずしも確かな根拠に基づいたものでなくてもよい― がとても重要になります。

わたしの場合は、応援してくれる仲間や相談に乗ってくださる諸先輩方の言葉が、不安の防波堤になりました。それがなければ、生活防衛資金があったとしても、今の自分はありませんでした。