職場でのマネジャーとしての責任と自分自身の個人的な価値観の間に生じる難しい問題を解決したマネジャーが、その葛藤の経験を振り返ってこんな発言をしたそうです。
「それは様々な意味でウェイクアップ(目覚まし)コールでした。とくに、組織がどう機能するものかについては、目を開かされたと思っています。一人で立ち往生してしまってもおかしくない状況でした。そこでわかったのは、自分自身について、また個人として職業人としての成長に対して、責任を負うのは自分だけだということです」
(『「決定的瞬間」の思考法』 p1)
組織というのは複数の人間が単一の目的に向かって行動するわけですから、定義からして葛藤が生じるようになっているといっても過言ではないでしょう。
葛藤を歓迎する人はいないと思いますが、敢えて葛藤の(とりわけ葛藤の中で決断することの)効用を挙げるとすれば、上で引用した『「決定的瞬間」の思考法』にある、この3つが思い出されます。すなわち
その人の本質が明らかになる
その生き方が試される
その人格が形作られる
という効用。上で引用したマネジャーのように、葛藤を振り返って「ウェイクアップコール」だったと捉えられれば、新たな葛藤に立ち向かっていく強さが持てそうです。
ここで、ある人から聞いたこんな言葉を思い出しました。たしかドラッカーの引用だったと思いますが、失念してしまいました…。
もし何の葛藤も感じずに一日の仕事を終えたとしたら、
あなたはマネジャーの仕事をしたとはいえない。