『定義集』
『定義集』という本を読みました。アランというフランスの哲学者が「信念」「必然性」など200以上の言葉について、数行から1ページほどの文章で定義を試みたもの。例えば「信念」は『これは証拠を欠くあらゆる確信を意味する共通の言葉である。』という文章に始まり、信仰や盲信との違いを説明しています。
自分でちょっと真似してみて、その内容の貧弱さに驚く結果となってしまいました。「定義する」というのは意味の深い作業で、意志決定スキルの向上にも役立ちそうですので、マイ定義集を作ろうと試みて考えたことをメモしておきます。
そもそも定義とは何か
何かを定義しようとするとき、頭の中では「限定」と「言い換え」を行っています。
限定には、大きく分けて「比較」と「帰属」の2通りのやり方があります。比較は「○○とは、××の点で違う(似ている)」と説明すること。例えば、「目標は、期限を定めるという点で夢とは違う」という感じ。
帰属は「○○の一部である」「○○を含む」と説明すること。例えば、「目標を立てることは、目的を持つことの一部である(従って目的のない目標設定は有り得ない)」という感じ。
言い換えには、抽象的に言い換える方法と具体的に言い換える方法があります。例えば「転職」であれば、「一つの職から他の職に転ずること」(広辞苑)のように具体的にも、「理想の職を求める勇気、あるいは現職への嫌悪が行動となって顕れたもの」(これだけでは不十分ですが)のように抽象的にも、言い換えられます。
定義が意志決定にどう役立つのか
限定と言い換え、これは収束と発散の思考法に近いと言えます。限定とは選択です。例えば、何が目標であるかを考えるとき、同時に何が目標を立てる行為でないかということを意識せざるを得ません。定義する言葉が何であれ、自分の立場を明確にしなければならないので、見識を育てることができそうです。
言い換え(とりわけ抽象的な言い換え)は、文字通り抽象化です。定義する言葉が転職のような行動であればその意味や目的に言い換えてみることで、同じ目的を果たせる他の行動が見つかるかもしれません。