ミニレビュー
「考え方」のアラカルト
著者は国際政治学者(だそうです。寡聞にして存じ上げませんでした……)。53の「考え方」が4ページくらいずつまとめられています。目次から、お気に入りのところを少し抜き書きしてみます。
●考え方1 「自分」とは何か
●考え方3 「宙ぶらりん」に耐えること
●考え方4 必ず「言葉」にしてみる
●考え方6 とにかく一度「結論」を出す
●考え方7 最初に得た「直感」を思い返す
●考え方8 むずかしい話を「やさしく」言い直す
●考え方23 「択一」より「共存」を意識する
●考え方51 「予兆」を感じるアンテナを磨いておく
●考え方52 「三十年以上先」は、現在の延長で考えない
「そうだそうだ」と思うところと、「むむ、そうかな」と感じるところといろいろ出てくるのですが、それも著者なりの主張が明確で、かつ一貫しているからでしょう。
53のテーマは、心構え的なことから、考え方のコツまで、実にさまざま。たとえば『「作用反作用」「慣性」「鹿威し」でものごとを考えると整理しやすい』なんていうのがあります。大きな動きがあれば反動がある。動き出したものは止まりづらい。しきい値を超えると大きく変わるものがある。世の中の動きを考えるときんは、そういった視点で見てみろということ。
随所に配された要約で読みやすさアップ
目次だけでも割と情報量があるのですが、目次に1行ずつ要約が添えられています。それがまたわかりやすくていいんですね。たとえば考え方4は、目次はこうなっています。
●考え方4 必ず「言葉」にしてみる
――表したい言葉を探すことは、「考えること」である。
「言葉を探す」行為イコール「考える」か。なるほど……。
そして3ページ少々の本文の先頭に、また要約があります。こんな具合に。
【考えるポイント】表したい言葉を探すことは、「考えること」である。「ただ何となく」頭に浮かんだ考えを「ただ何となく」表現しているだけでは、何をどう考えたのかが明確にならない。
なるほど、言葉選びにこだわることには大きな意味があるのだな……。
読者からすると、本文を読み始めるまでに「準備」ができます。53の考え方ごとにタイトル、サブタイトル、【考えるポイント】と3段階の要約を付けるという編集上の工夫も、この本の説得力を高めている一因のようです。