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ちょっと本気な千夜千冊虎の巻―読書術免許皆伝


ミニレビュー

あの『千夜千冊』の、愉しいガイドブック

引用:

 

本書はぼくが二十代後半の麗しい女性のインタビューをうけて、喋っています。(略)結果はご覧のとおり、Qちゃんはまことに巧みにぼくの読みかたや考えかたを引き出してくれた。ぼくが一人で綴ったら、なかなかこんなふうな流れにはならなかったでしょう。(あとがき)

Qちゃんというのがインタビュアー。自称『ただの多少の本好き』で、ウェブ連載の「千夜千冊」は『ときどき覗く程度』、松岡正剛氏の著書も『二、三冊』読んだ程度とのこと。最初は、なぜもっと詳しい人を当てないのか不思議に思いました。しかしこの方は優れたインタビュアーで、読者の代わりに率直な質問をどしどし氏にぶつけてくれます。おかげで楽しい読みものになっています。

全七巻に編み直された書籍『千夜千冊』を一冊ずつ一章として対談形式の解説が進んでいきます。興味を持って読んだのは、やはり氏の本の読み方が分かるくだり。

引用:

 

第一に、「目次読書法」をする。これはかんたんなことで目次をアタマに入れるということです。そもそもどんな本にも目次というものがある。みんなそれを無視するか軽視していますが、これはダメです。本の著者も編集者もまずそこから仕事を開始している。ということは、目次にはその本の骨組みがあからさまになっているということです。これを活用しない手はない。(p246)

引用:

 

それが終わったら、やっとパラパラとページを繰っていく。それまでパラパラはしてはいけません。そしてパラパラをしたら、そのとき、いま目次を見たときに感じて想像したことをすばやく点検するんです。自分が思ったことと近かったとか、まったく予想とちがったか、すばやく見るんです。感じるんです。いいですか、まだ読むんじゃないんですよ。(p248)

氏は、いわゆる「速読」はしないとどこかに書かれていたと記憶しています。でも上記のやり方は、フォトリーディングなどの速読法にかなり通じますね。と同じですね。とても面白い。

そして、マークをしながら読み進める。

引用:

 

まずは「ピンときたところ」と「よくわからないところ」を区別するマークをつけるだけでもいいでしょう。それから著者が大事にしていそうなところはその意見に賛成であろうと反対であろうと、ぜひともマーキングしたい。これはとても重要なことで、ぼくが『千夜千冊』みたいなことができたのも、賛成・反対を当初からやりすごせているからなんです。(p249)

そして、各章を三ヶ条ずつに要約したうえで、図解する。氏のそんな読書ノウハウが、ほんのさわりだけではありますが、窺えます。