ミニレビュー
webちくま「21世紀を生きるために必要な考え方」というサイトの連載が書籍化されたもの。下記のような質問に、加藤典洋さんという文芸評論家が答えます。
『我々の生活に花が必要ならば、なぜですか。』
『人間の生活と関係の深い「習慣性」が奪い取るのはどのような価値でしょう。』
深刻な質問も、暇だなあと思う(失礼)質問も、いろいろあります。そういった67の質問に、加藤氏が考え考え答えていく。そのやり取りが面白い。
「こんな質問をされたらどう答えよう?」と思うような質問ばかりなのですが、氏はときに軽く、ときに重く、ときには逃げ腰になりつつ、それでも何らかの考えを文章で返しています。
考えてみると、相談する人も必ずしも「答え」が欲しいわけではないのかもしれません。もとより正解のないような質問ばかりですので、大学教授で文芸評論家の肩書きを持つ加藤氏がウンウンと唸ってくれる、その姿勢を見せてくれるだけで相談の目的は果たされるのかもしれません。
まだ連載は続いています。ご興味のある方は上記のリンクをたどってみてください。