ミニレビュー
2008年の米国大統領選に出馬表明をしている、ルドフル・ジュリアーニ元ニューヨーク市長の自叙伝的リーダーシップ論。いや、リーダーシップ論的自叙伝、といった方が正確かもしれません。
9.11は、この本の執筆中に起きました。第一章は当時のニューヨーク市長が書く事件のドキュメンタリーとなっていて、不謹慎を承知で書けば、これは「最強の導入部」です。
アカデミックな本ではないので、リーダーシップを発揮するための理論が紹介されているわけではありません。しかし検事として、また市長として、どう考えどう行動してきたかが細かく述べられており、臨場感のある物語として楽しく読めました。
個人的に一番面白かったのは、第六章「熟慮、しかるのち決断」。ギリギリまでオープンに構え、出来る限りの検討をする。ひとたび決断したら断固やり遂げる。そういう、リーダーらしい決断の事例が紹介されています。
引用:
どんな重要な決定に際しても、わたしは常に、別の選択肢を選べばどんな成り行きになるか、おのおのについて検討する。この過程で、何度か考えが変わることを恐れない。多くの人は宙ぶらりんの心地悪さから解放されたくて、即断の誘惑にさらされるが、決断に時間をかければかけるほど、結果は賢明で理にかなったものになるはずだ。(p149)