ミニレビュー
新書なのに「最強の」経営学とは、なんという自信。何が書いてあるんだろうと、つい手に取ってしまいました。
「最強」かどうかは分かりませんが、王道の経営学ではありそうです。企業経営の「レバー」つまり経営者が強く意識すべきポイントを
1.基礎体質
2.コスト論
3.売上増
4.ポートフォリオ論
の4つに絞ったうえで、1を除く3つのレバーとキャッシュフローの重要性について、それぞれ一章ずつ割いています。
規模の効果と経験曲線、ポートフォリオ・マネジメントなど、ベーシックな経営戦略についてまとめられています。さらに日本企業の事例も、新書なので数は厳選されていますが、添えられており、理解を助けてくれます。充実した新書ですね。
序章では、意思決定の重要性と難しさを「情報の四段階」という考えで整理しています。分かりやすいので簡単に紹介します。
「データ」は…データです。
「インフォメーション」は、データを加工なり集約なりしたもの。売上は前年度比○%減だったとか、そういうことです。
「インプリケーション」は、そのインフォメーションが示唆すること。この商品の売上の減少は、消費者の嗜好が△△にシフトしているのではないかと読むようなことです。
「ジャッジメント」は、最終的に行動するかしないかを決断すること。これが経営者の仕事の要です。
引用:
仮にインプリケーションの段階までいって「これはこうすべし」という答えが明確に証明できたとしよう。証明されたのであれば、経営者がジャッジする必要はないのである。逆に言えば、証明されないからこそ、絶対にこれだったら正解だということがわからないからこそ、ジャッジをする必要があるわけだ。