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反哲学史


ミニレビュー

『「本の定番」ブックガイド―アナタが読むべき名著が一目でわかる』で紹介されていた本です。

『反哲学史』とは、著者の『哲学をあまりありがたいものとして崇めたてまつるのをやめて、いわば「反哲学」とでもいうべき立場から哲学を相対化し、その視点から哲学の歴史を見なおしてみようということ』というねらいを表現したものです。

なぜわざわざそのような「立場」の表明をし、タイトルに込めなければなければならないか。これまで日本で書かれた哲学史はある特定の哲学史観(十九世紀末から今世紀初めにかけてたまたまヨーロッパで支配的だった見方)に則っているのだそうです。この本はそうではなく『ニーチェによって粗描され、ハイデガーやメルロ=ポンティによって継承されたその新しい哲学史観に従って哲学の歴史を見なおしてみようと思っている』ので、(旧)哲学史と区別する必要があると考えたのでしょう。

…要するにこのタイトルは、哲学専攻の教授たる著者が安心して自由な立場で入門書を書くための仕掛けであることが分かってきます。ですので「反」といっても異端的な哲学史ということではありません。

実際、著者が大学で行ってきた一般教養科目「哲学」の講義ノートをもとにしたというだけあって、内容も文章も平易にまとめられています。哲学史というものにほとんど触れる機会のなかったわたしでもついていけました。

教養の一環ということでこのカテゴリに。