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環境再生と情報技術―地球新時代の技法


ミニレビュー

一言で言えば、ITが環境のためにできることをまとめた本です。

IT畑でない方には少し専門的な話も入っていますので、まったくの啓蒙書というよりは、腰を据えて学びたい方向けの本です。

薄い(200ページ足らず)割には網羅性が高く、事例や数字などが盛り込まれているあたりが結構面白く読めます。

#例えば、電話帳をIT化したらどうなるか?
紙の電話帳とCD-ROM版では30倍も重さが違いますが、
『紙とCD-ROMの製造エネルギーは10キロカロリー/グラムとすれば大きな違いはない』んだそうです。
とすると、CD-ROM化によって製造エネルギーは30分の1、こもごもを考慮すると総合的には25分の1のエネルギー消費で済むそうです。インターネット電話帳では170分の1。

そういう細かい話もあれば、ITの進展によって、2010年には日本全体のエネルギー消費を2.5%削減する効果が期待できるという予測も紹介されています。

「予測」といえば、この本で「バックキャスティング」という未来予測の手法があることを学びました。

引用:

バックキャスティングは、世の中が大きく激動する時代の予測方法として注目される。(略)20年後、30年後の社会が、現状で推移すれば深刻な破局に直面せざるをえなくなると予想される場合、その破局を回避するために、今から何を行うべきかを検討するための方法である。

現在の延長で未来を予測するのではなく、将来から現在を振り返る形で必要な打ち手を考えていく。もちろん「将来」は「破局」でなくてもいいわけで、起-動線的には「ありたい自分」を将来に据えたチャレンジの設定によって未来を創っていく、と置き換えることができます。
(バックキャスティング自体についての言及はほとんど無いので、それを目当てにこの本を購入すると失望されるかもしれません。バックキャスティングについては今後コンセプトノートなどで解説していきたいと思います)

【参考】
> コンセプトノート「未来をつくる:バックキャスティング」
> コンセプトノート「目的のない航行には、追い風も向かい風もない」